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緑きょう病菌
緑きょう病菌は昆虫に感染して死に至らせる病原性のカビで硬化病の一種として扱われます。特にカイコで問題になりやすく感染した幼虫が死亡したあと体表に緑色の胞子が大量に形成されることが特徴です。野外でもチョウ目の幼虫に感染することがあり発生条件がそろうと集団的に見つかる場合があります。
1.どのような病原体か
●硬化病の一種
緑きょう病菌は昆虫の体内で増殖して宿主を衰弱させ最終的に致死させます。死亡後は体が硬くなりやすく体表に胞子が広がるため硬化病の仲間として理解すると分かりやすいです。
●カイコでの重要性
カイコに感染すると飼育群の被害につながりやすく病死した個体が胞子源になると周囲へ感染が広がる可能性が高まります。
2.宿主と感染が起こる場面
●宿主の範囲
主な宿主はチョウ目の幼虫でカイコのほか野外ではサツマイモの葉を食べるナカジロシタバの幼虫で感染が観察されることがあります。
●感染の始まり
胞子が幼虫の体表に付着し湿度などの条件が合うと発芽して体内へ侵入します。その後は体内で増殖し栄養を奪いながら宿主の機能を低下させます。
3.感染後の病徴
●幼虫の変化
感染した幼虫は活動性が低下し摂食が弱まり体色や張りが変化する場合があります。進行すると動かなくなり死亡します。
●死亡後の特徴
死亡した幼虫の体表には緑色の胞子が多数形成され外見から緑きょう病と判断しやすくなります。胞子が多い個体は周囲へ胞子を散らし次の感染源になります。
4.形態学的特徴
●分生子形成の構造
緑きょう病菌は分生子柄の周囲を取り巻くようにフィアライドを形成します。フィアライドは胞子形成に関与する器官で先端が短い首状になりその先端から分生子が生じます。
●分生子の形と大きさ
分生子は太い楕円形から円筒形で大きさは約3.5~4.5×2.0~3.1μmとされます。
5.生態と発生しやすい時期
●野外での観察
野外ではナカジロシタバの幼虫で秋口に感染がよく見られるとされ季節条件と宿主密度が関与している可能性があります。
●環境条件
胞子の付着後に発芽が進むには湿度が重要になりやすく雨の多い時期や葉が込み合う環境では感染が起こりやすくなる場合があります。
6.防除と利用
●微生物的防除への利用
緑きょう病菌は害虫の個体数を抑える目的で微生物的防除に利用されます。微生物的防除は生物学的な作用を活用して害虫を制御する方法で化学農薬への依存を下げやすい点が利点です。
●運用上の考え方
効果を得るには対象害虫と環境条件の相性が重要になるため発生時期や散布タイミングや湿度条件などを踏まえた設計が求められます。
7.研究と今後の展望
●メカニズムの解明
感染成立の過程と分生子形成の仕組みを理解する研究は害虫制御の精度向上につながります。
●持続可能な管理
微生物的防除の選択肢が広がることで化学的な薬剤使用量の低減や生態系への負荷軽減が期待されます。緑きょう病菌はその候補の一つとして研究が進められています。