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草食動物
植物を主な栄養源として生きる動物のまとまりです。食べる内容は草や葉だけではなく花や果実や樹皮や種子や樹液なども含まれます。植物は動かず硬い繊維を持つため草食動物はそれを食べやすく消化しやすくする体の仕組みを発達させてきました。草食動物が植物を食べることで植生の量と形が調整されその結果として他の動物のすみかや食べ物も変わります。つまり草食動物は生態系の流れを動かす重要な存在です。ここでは分類と体の特徴と暮らし方と役割と進化の視点をまとめます。
1.草食動物の分類
草食動物は特定の一群だけを指す言葉ではなく哺乳類や鳥類や昆虫や爬虫類など複数のグループにまたがって見られます。共通点は植物を食べる割合が高いことですが種によっては季節や成長段階で食性が変わることもあります。
●哺乳動物
草食の哺乳類は数が多くウマやウシやシカやカバやキリンなどが代表例です。大きな体を支えるために長時間採食する種が多く群れで行動して外敵への備えを高める種もいます。
●鳥類
鳥にも植物を多く食べる種がいて草の種子や木の実や芽を食べます。くちばしの形は食べ物に合わせて変化し硬い種子を割る種や葉をちぎる種などがいます。
●昆虫
昆虫では植物の葉を食べるイモムシや草をかじるバッタや植物の汁を吸うアブラムシなどが草食性として知られます。小さくても数が多いため植物への影響が大きくなる場合があります。
●爬虫類
一部のトカゲや多くのリクガメなどは植物を中心に食べます。温度と日光で体調が左右されやすく食べられる植物の種類や量が季節で変わることがあります。
2.草食動物の特徴
●消化器官の適応
植物の細胞壁には消化しにくい繊維が多く含まれるため草食動物はそれを分解する仕組みを持ちます。反芻胃を持つウシやシカは一度飲み込んだ食べ物を口に戻して噛み直し胃の中の微生物の力も借りながら繊維を分解します。ウマのように大きな盲腸で発酵させるタイプもあり同じ草食でも仕組みが異なります。
●特殊な歯
草をすりつぶすために臼歯が発達し顎を横に動かして細かく噛む動きが得意になります。前歯で草を切り取って奥歯で砕くなど役割が分かれている種もいます。歯はすり減りやすいため一生伸び続ける歯を持つ動物もいます。
●植物質の栄養
植物からは炭水化物や繊維やビタミンやミネラルを得られます。ただし植物はたんぱく質や脂質が少ないことが多いため多く食べる必要があり採食に長い時間を使う種が多いです。塩分や微量元素を補うために特定の場所で土をなめる行動が見られることもあります。
●進化の適応
植物が豊富な環境では植物を安全に効率よく利用できる個体が生き残りやすくなります。その結果として消化器官や歯や採食行動が植物食に向く形へ進化してきました。同時に植物側も食べられにくくする成分や硬さを発達させるため両者の関係は長い時間をかけて変化してきたと考えられます。
3.草食動物の生態
●食性の適応
同じ場所に複数の草食動物がいる場合でも食べる植物の種類や食べる部位や採食する高さが違うことで資源を分け合います。草を主に食べる種もいれば葉や枝を主に食べる種もいてこの違いが共存を助けます。
●社会性
群れで暮らすと外敵を見つけやすくなり襲われにくくなる利点があります。群れの中では見張り役のような動きが自然に生まれ危険を知らせる合図で一斉に逃げることがあります。単独で暮らす種もいてその場合は隠れる能力や素早い移動が重要になります。
●繁殖戦略
食べ物が豊富な時期に出産や子育てを合わせる種が多く季節の変化が繁殖に影響します。群れを作る種では繁殖期に雄同士の競争が起こることがあり一方で競争を避けるために単独行動を選ぶ種もいます。
●生息地の利用
草原やサバンナでは広い範囲を移動しながら草を食べ森林では葉や木の実を利用します。湿地では水辺の植物を食べる種がいて山地では季節ごとに標高を変えて餌場を探す種もいます。生息地の違いは体の大きさや足の形や採食の方法にも反映されます。
4.草食動物の重要性
●生態系のバランス
草食動物は植物の量を食べることで調整し特定の植物が増えすぎることを抑える働きをします。採食の圧力が変わると草原が森林化したり逆に樹木が減ったりすることがあり景観と生息環境の形を左右します。
●植物の種子散布
果実を食べる草食動物は種子を運ぶ役割も持ちます。種子が糞と一緒に別の場所へ運ばれると新しい場所で芽を出す可能性が高まります。毛や体に付いた種子が運ばれる場合もあります。
●食物連鎖の基盤
草食動物は植物のエネルギーを動物の体へ変換しそれを肉食動物や雑食動物へ渡す中継点になります。草食動物の数が増減すると捕食者の数や行動も変わり生態系全体の関係が動きます。
●草食動物の例
・ウマ科(馬 シマウマ ロバなど)
草を長時間食べて栄養を得るタイプが多く広い範囲を移動します。群れで行動する種もいて見張りと逃走で身を守ります。
・ウシ科(ウシ ヤギ ヒツジなど)
反芻胃を持ち繊維の多い草でも効率よく利用できます。家畜として人の生活とも深く関わります。
・シカ科(シカ エルク カモシカなど)
森林や草原で葉や芽や木の実を食べる種が多く雄は角や枝角を持つことがあります。季節で行動範囲と食べ物が変わります。
・キリン
高い木の葉や小枝を食べるために長い首と長い舌を持ちます。草よりも樹木の葉を利用する場面が多いです。
・ウサギ
小型で警戒心が強く草や葉を食べます。繁殖力が高く環境が合うと数が増えやすい特徴があります。
5.まとめ
草食動物は植物を食べるだけの存在ではなく植生の形を変え種子を運び食物連鎖を支える役割を持ちます。体のつくりと行動は植物食に合うように進化しておりその多様さが生態系の多様さにもつながります。保護や管理が適切に行われると草食動物と植物と捕食者の関係が安定し多様性の高い自然環境を保ちやすくなります。