収録用語リスト:伝達性海綿状脳症

害獣や害虫を退治する業者

用語一覧

伝達性海綿状脳症
伝達性海綿状脳症(Transmissible Spongiform Encephalopathy, TSE)は、プリオンと呼ばれる変異した蛋白質が中枢神経系に異常な変化を引き起こし、脳組織にスポンジ様の穴が生じる病気の総称です。プリオンは通常の感染症とは異なり、生物学的に異常なタンパク質が正常なタンパク質を変性させることで病態が進行します。代表的な伝達性海綿状脳症には、ジャコブ・クルッツフェルト病(Creutzfeldt-Jakob disease, CJD)や牛海綿状脳症(Bovine Spongiform Encephalopathy, BSE)などがあります。

1.伝達性海綿状脳症の特徴:
●プリオンの変性:
伝達性海綿状脳症は、異常なプリオン蛋白質が中枢神経系に蓄積し、正常なプリオン蛋白質を変性させることで起こります。この変性が進行すると、脳組織がスポンジ様の穴で満たされる特徴的な病理学的変化が生じます。
●種々の感染経路:
伝達性海綿状脳症は、感染動物や患者の組織や体液を介して感染が広がることがあります。食物連鎖を通じた感染(例: BSE)、医療機器の感染、または遺伝的な要因による発症があります。
●神経変性と症状:
病気の進行に伴って、神経組織の変性が進み、患者は認知機能の喪失、運動障害、感情の変化など多岐にわたる症状を経験します。

2.代表的な伝達性海綿状脳症:
●ジャコブ・クルッツフェルト病 (CJD):
CJDは人間に発症する伝達性海綿状脳症の代表的な疾患で、遺伝的な要因によるもの(遺伝性CJD)、感染によるもの(感染性CJD)、または特定の医療手続きによるもの(医原性CJD)などがあります。
●牛海綿状脳症 (BSE):
BSEは牛に発生する伝達性海綿状脳症で、食物連鎖を通じて感染が広がり、人間にも感染が及ぶことがあります。BSEに感染した牛の肉を摂取することで、人間に新たな型のCJD(vCJD)が発生する可能性があります。
●慢性延髄上神経脊髄炎 (Chronic Wasting Disease, CWD):
CWDはシカ科の動物に発生する伝達性海綿状脳症で、アメリカなどで報告されています。感染した動物の組織を摂取することで、他の動物に感染が広がる可能性があります。

3.診断と治療:
●診断:
伝達性海綿状脳症の診断は、臨床症状、神経学的検査、脳のMRIや脳脊髄液の検査を組み合わせて行われます。また、組織の生検も診断に用いられます。
●治療:
伝達性海綿状脳症の治療法は限られており、症状の管理や対症療法が主体となります。薬物療法や支持療法が行われますが、根本的な治療法は確立されていません。

4.予防:
●感染経路の管理:
特にBSEなど食物連鎖を通じて広がる場合は、感染経路の管理が重要です。肉の検査や感染動物の適切な処理が予防に寄与します。
●遺伝子検査:
遺伝性CJDなどの場合、遺伝的な検査が可能で、リスクを把握することができます。

まとめ:
伝達性海綿状脳症は、異常なプリオン蛋白質の蓄積により引き起こされる中枢神経系の疾患であり、人畜問わず重大な脅威となります。予防や早期診断には慎重な管理が必要であり、また、この病気への理解と対策がますます重要となっています。



受付電話番号